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「貧困」の背景にあるもの

みなさん、こんにちは。医学生担当のMKです。タクシーの方じゃないですよ。ちなみに、前回のブログでは、不覚にも名乗り忘れてしまいました。まだご覧になっていない方は読んでみて下さいね(http://hyogo-min.com/staff/post-798.html)。

さて、9月24日(土)「貧困についてMSWから学ぼう!」という企画を東神戸病院で行いました。医学生2名、それから看護学生1名が参加してくれました。小規模の学習会でしたが、その分とても内容の濃いものとなりました。

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テーマは「貧困」です。みなさんは、この言葉からどのようなことを想像されますか?今回の学習会では、「相対的貧困」をキーワードの1つとして、病院のMSW(メディカル・ソーシャル・ワーカー)の対応した事例を通じて、社会的な環境が個人の健康や生活に影響を与えることを学びました。言い換えると、医療者はそういった個人の置かれている社会的な状況を鑑みることが重要だということですね。

また、取り上げた事例に関しては、地域の方の支えがあり、受診につながった、ということも大きな意味がありました。その方の存在がなければ、そもそも医療機関との接点もなかったかもしれません。人と人のつながりの生む力、つまり「ソーシャル・キャピタル」についても学ぶことができました。

企画の中では、フィールドワークを行ない、「借り上げ復興住宅」(※)にお住まいの方との懇談を行いました。高齢化迎え、居住者の減少、孤独死なども起きている厳しい現状を伺いました。また、震災から20年が経ち、80歳までの方が退去を迫られている、という現在直面している問題もお聞きしました。阪神淡路大震災から21年が経過しようとしていますが、このような状況はまさに自然災害、および行政の対応の生んだ「貧困」と言えます。

企画全体を通しての、参加者の感想です。

「貧困というものは、生活の様々な視点からみたその人の生きづらさなのだと知った」

「借り上げ住宅での希薄な人間関係が実際に孤独死を生んでいる、様々な格差を生み出していることを改めて当事者の方から聞いて実感が湧きました」

「今までは傷病を中心に考えていましたが、患者が真の意味で健康を取り戻すためには、こういった社会的環境を考えなければならないと思いました。」

半日だけの学習企画でしたが、とても良いものとなりました。今日学んだことを、少しでも将来役立ててもらえたらと願っています。


※「借り上げ復興住宅」...1995年に起きた阪神淡路大震災時に自宅を失った方を対象に、兵庫県や神戸市などの自治体が、日本住宅公団(いわゆる、「公団」です、現在の「UR都市機構」のこと)や民間企業から住宅を借り上げ、市営住宅として提供した住居のことです。なお、入居者の退去については、神戸市を初め、西宮市などでも、行政が原告となり、市民を被告とした裁判となり、現在法廷で争われています。

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