今日は身体診察のお話。
最近、身体診察って難しいな〜と思うことが続いたので、ブログに書いています。
1つ目は、2週間前に私が入院で担当した患者さんが、退院後に救急車で運ばれてきて、再度入院となりました。
基礎疾患に、肝硬変のある患者さんでした。
初期研修医が救急外来で診たのですが、カルテに『肝腫大あり、肝臓の辺縁不整』と書いてありました。
写真①左が正常の肝臓、右が肝硬変の肝臓です
*肝硬変では初期には肝臓は腫大し、周囲が凸凹(でこぼこ)し、その後に萎縮してきます。
しかし、前回入院時に診察をした限りでは、肝腫大も辺縁不整もなかったと記憶していたので、腹部CTで確認。
肝臓はどちらかと言うと萎縮していて、腹部の診察では触れられそうもない大きさでした。
多分、救急車で運ばれてくる前に過去のカルテを見直して、情報収集する中で肝硬変の記載を診て、それに思考が引きずられての腹部診察の結果だったのではないかな〜、と思います。
でも、気持ち解るな〜(P_−)
本人に確認すると苦笑いしていました、何事も経験です(^0^)
もう1つは、胆嚢摘出後の患者さんが腹痛で夜間に救急受診されました。
先程とは別の初期研修医が診察しました。
胆嚢結石が胆管(胆嚢と腸をつなぐ管)につまり、胆嚢が腫れ上がる病気に胆嚢炎という病気があります。
腹部の診察で、深吸気時に胆嚢部の触診による圧痛のために突如呼吸を止める現象のことを『Murphy sign 陽性』と言います。
胆嚢炎で胆嚢が腫れ上がっている、ということを表しています。
初期研修医のカルテ記載に『Murphy sign 陽性』とありました。
写真②胆嚢の触診
しかし、その記載の少し上に、胆嚢摘出後の記載。
胆嚢がないので、『Murphy sign 陽性』ではない、のでないかい?
と言うと、
『あっ、確かにそうですね。』
と言ってカルテ記載を直していました。
まっ、胆嚢はないけど、腫(は)れているところは正しく診察できていたので問題ないのですが。
しかし、初期研修医を見ながら思ったのは、
『私も初期研修医の頃は、???なカルテを書いていたのだろうな〜。』
ということ。
身体診察は難しいです。
私も初期研修医のころ、指導医の腹部の診察を横で診ながら必死に盗もうとしたのを覚えています。
尼崎医療生協病院では初期研修医に身体診察を教える機会を作っています。
それが下の写真。
溺れたトドを蘇生しているのではありません、まっトドは溺れませんが・・・。
指導医を患者さんに見立てて、めまいの診察を学習&練習しているところです。
Dix-Hallpike試験と言うめまいの診察をしているところです。
いきなり患者さんを相手にすると、上手く出来ませんので、まずは指導医で練習。
1回予行演習したので、初期研修医も今後は救急外来で落ち着いてできるはず(^0^)