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吉田病院で考えたこと

後期研修医のjun1です。

もう随分と前になる吉田病院での研修中に考えていたことを書いてみようかと思います。

吉田病院は奈良にある精神科の入院施設がある病院です。

*春日大社の鹿です

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近畿の民医連の初期研修医は2年間の初期研修中に回る精神科研修を吉田病院で行います。

吉田病院での研修中に考えていたことを改めて考えるきっかけになったのは、ある研修医の先生の話でした。

その研修医の先生が吉田病院での研修を開始してからしばらくして、

『統合失調症になって吉田病院の外来を受診する夢を見ました。』

と私に話してきました。

 

性格が真面目過ぎるのだろうな~、と話を聞きながら思いましたが、同時に私はそのような夢を見ることはないだろう、とも思いました。

吉田病院での精神科研修に外来見学というのがあります。

その外来見学は、患者さんと医師の話を聞きながら、その患者さんの疾患を考える、というものです。


診察の前に指導医から

『次の患者さんの抱えている疾患は○○で、△△のような特徴があるので・・・』

というような話は一切ありません。

 

そして外来終了後、見学しながら辿り着いた疾患について、指導医と振り返りをします。

精神科医の武器は薬ではなく『言葉』である、ということなんだろうな~、と思いながらの外来見学でした。

しかし、初期研修医にそのような武器はなく、最初は???の連続でした。

その?の原因の1つに、精神科病院の外来には、明らかに社会生活に支障を来すような病状の方はそれほど来られない、というのがあります。

どちらかというと、治療により病状が落ち着いておられる方が大多数です。

そして、そのような方々に対して思うのは、見て、話を聞いて感じる印象は、それほど特別な感じはしない、世の中にいる人々の性格のバリエーションの範囲をそれほど逸脱しているようには感じない、ということです。

 

精神科病院の外来ではなく、デパートやコンビニで出会ったなら特に治療を必要とするような疾患を抱えてはるような人には見えない、と感じることが多かったです。

そんな病状の落ち着いた患者さん(患者さんと呼んでよいのかも分かりませんが)と、医師の話を聞きながら、

『病気でない人、あるいは病気とは思われそうにない人を、何かの病気に罹患していると思いながら、何かの病気に当てはめようと見ている私の方こそが、病気ではないのか?』

などと思いながら、外来見学をしていました。

なので冒頭の精神科疾患に罹患した夢を見ました、という研修医の話を聞いた時に、

「私は夢ではなく覚醒したままで、『私の方こそ病気ではないのか?』と思っていたな~。」

と思い出し、

『だから私は精神科疾患になる夢を見ないのだろう』

と、思っていました。

それが幸せなのか不幸なのかは分かりませんが。

 

写真は精神科病院のデイケアで患者さんと卓球をしながら修行中の私

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