トップページ> 研修医ルーム > 気持ちが通じ合う時(産婦人科病棟にて)
産婦人科研修中のjun1です。
研修中に、何度も分娩を見る機会があったのですが、その時のことについて。
分娩が始まると、分娩室に呼ばれます。
最近は御主人(新パパ)が妊婦さんの隣について、分娩室に一緒におられることが本当に多いです。
そんな新パパとの心の交流について。
実は、分娩室の新パパとよく目が合います。
理由を考えてみると・・・。
分娩室において、指導医、後期研修医、看護師、助産師の皆様は妊婦さんと胎児に神経が集中しているので、分娩室でどことなく居場所がないと言うか、何となく立ち位置の安定感がないのが、新パパと私(共通するのは二人とも何もできない男)。
私が分娩室に入ると直ぐに
『アッ、新パパも分娩室に入ってはる』
と思うのですが、新パパも入って来た私の方を見て視線がバッチリ合います。
先日などは、私の顔を見るなり、何ともいえない不安と安堵の入り交じった笑顔を私に向けた新パパさんがいました。
もちろんそんな新パパさんの不安と安堵の入り交じった笑顔を分娩室で引き取ってあげられるのは、初期研修医で男性の私くらい。
皆様新パパさん以外のことに集中していますから。
そして、そんな彼との思い出深い心の交流は以下の通り。
新パパ:あ~、男の人が来てくれてよかった~。俺さっきから、何か立ち
位置が安定しないし、もうどうしていいか解らなくて・・・。
Jun1:解るよ、その気持ち。俺もそうだよ。
新パパ:あ~、解ってくれる人がいてくれてよかった~。分娩室での
男の立ち位置って、なんか不安定ですよね?
Jun1:ホントその通り。でも、あんた良く頑張ってるよ。
新パパ:そうですよね、ね、俺、頑張ってますよね?
Jun1:ああ、あんた立派に頑張ってるよ。例えあんたが、将来奥さんに、
『あなたはあの時何もしてくれなかった』っと何度も攻められること
になっても、俺がその度に弁護するよ。分娩室の他の誰も見ていな
いかもしれないけれど、俺が証人さ。
新パパ:あぁ、あなた(男)が居てくれて救われました。
Jun1:それはお互い様、俺も救われたよ。
新パパ:ああっ、生まれた。俺、父親になりました。
Jun1:おめでとう。あんた立派だったよ。
といった心の会話が目だけで交わされたことがありました。
今更ながらですが、僕ってアホ?ですかね。
*写真は、先日産婦人科のT村先生が新生児の救急蘇生の講習会を行ってくださった際に用意されていた『インファント・ウォーマー』です。生まれたばかりの赤ちゃん(インファント)を温めたり、緊急の際には蘇生を行うためのカートです。写真の赤ちゃんは人形です、念のため。