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時をつかむ

『時をつかむ』という題名だけど、話の半分は時をつかめなかった話。

 

フィギィアスケートの浅田真央選手の母親が亡くなられたというニュースを聞いて。

 

彼女はかつて時をつかみかけていたのに、或はつかんでいたのに・・・と思いながら、このニュースを聞きました。

 

2005~2006年シーズンに、15歳で出場したグランプリファイナルで初出場初優勝した彼女は、国際的にも注目を集めました。

 

2006年トリノ五輪は、2005年7月1日の前日までに15歳になっていなかったため、年齢制限による出場資格規定により不出場となりました。



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代表選考の頃は彼女が金メダルに一番近いのではないかとのことで、メディアを含め年齢制限に対する疑問の声が連日報道されていました。

 

結局、彼女のトリノオリンピック出場はかないませんでした。

 

トリノオリンピックでは荒川静香選手が金メダルを獲得しました。

 

日本人で唯一のメダルであり、それから暫くの間、確かに彼女は時をつかんでいました。

 

そしてその祝賀ムードの中で浅田真央選手が金メダルに一番近かったという様な報道は世間から忘れ去られてしまいました。

 

あの頃の彼女は何も考えずに、ただただフィギィアスケートが楽しくて滑っている、という感じでした。

 

人生の酸いも甘いもな〜んにも知らない子供が無邪気に飛び跳ねている、というようなスケートに見えました。

 

それはそれで、まばゆいばかりに輝いていて良いのですが、個人的には子供のスケートより、様々な経験を積んだ大人の女性のスケートの方が好きです。

 

(にじ)み出る様な大人の雰囲気が好みです。

 

カルガリーオリンピックのカタリーナ・ビット選手の様な、或はトリノオリンピックの荒川静香選手の演技も大人な雰囲気が出ていました。

 

(にじ)み出る様な大人の演技をするには、バレエの素養(そよう)が欠かせません。

 

姉がクラッシックバレエをしていた関係で、子供のころからバレエを見る機会が多いのですが、フィギアスケートの選手の背中から首・肩・腕・指先までの使い方はあまりにお粗末なレベル。

 

あ〜フィギアスケートって演技ではなくて、点数を競うスポーツなんだな〜、とその表現力を見ていていつも思います。

 

そんな演技で表現って言われても・・・な演技が殆どです。

 

そして、上半身の使い方というのは、なかなか一朝一夕に身に付くものではなくて、特に若い選手はできていない事が殆どです。

 

体型も子供だから手足が短いですし。

 

当時の浅田真央選手もそんな若い選手の一人で、何回転したとか、何回跳んだという事以外見るべきものがないと感じていました。

 

そんな彼女も様々な経験を積み、鍛錬を重ね、身長も伸び、手足も長くなり、上半身の使い方も上達を感じさせるようになってきました。



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話をかつての代表選考に戻して・・・。

 

確かに彼女はあの時、時をつかんでいました。

 

彼女自身に時をつかむ気は更々なかったでしょうが。

 

そして、彼女自身に何の落ち度も無いのに、そのつかんでいた時を失ってしまいました。

 

彼女は代表には選ばれず、その次の初めて出場したオリンピックでも金メダルは獲得できませんでした。

 

トリノオリンピックに出場していたら、彼女は金メダルを獲得していたでしょうか?

 

それは誰にもわかりません。

 

この度、彼女は母親が亡くなられた後の全日本選手権では優勝という結果を残しました。

 

彼女は今度は自らの意志の力で時をつかむことができるでしょうか。

 

当時の無邪気に天真爛漫に滑る子供の彼女では無く、人生の苦悩を経験した大人の彼女の表現に少し期待しています。








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