トップページ> 研修医ルーム > 『臨床倫理の4分割法』、と、私の4分割法
2年目研修医のJUN 1です。
今回は毎週火曜日の朝にある仕事の前のレクチャーの話です。
朝のレクチャーの講師は2年目以降の医師が順番に務めます。
今週は、後期研修1年目(卒後3年目)のM先生(家庭医コースで研修中)。
レクチャーの題名は『臨床倫理の4分割法』というもの。
ある症例の倫理的側面を考える際に、
①Medical Indication(医学的適応)
②Patient Preferences ( 患者の意向)
③QOL (生きることの質)
④Contextual Features(周囲の状況)
の4つの枠で考えようというもので、詳しい考え方や方法は白浜将司先生のホームページ内(http://square.umin.ac.jp/masashi/kangaekata.html)に記載されています。
もう少し具体的には
①Medical Indication(医学的対応) ・診断と予後 ・治療目的の確認 ・医学の効用とリスク ・無益生 |
②Patient Preferences(患者の意向) ・患者さんの判断能力 ・インフォームドコンセント ・治療の拒否 ・事前の意思確認(リビング・ウィル) |
③QOL(生きることの質) ・QOLの提議と評価(身体、心理、社会的側面) ・誰がどのように基準を決めるか ・QOLに影響する因子 |
① Contextual Features(周囲の状況) ・家族など他社の利益 ・守秘義務 ・経済的側面、公共の利益 ・施設の方針、診療形態、研究教育 ・法律、慣習 ・宗教 ・その他 |
4つの枠のどの枠にも問題点を入れて、様々な視点から様々な人々と広い視野で考える事が出来るように、という実践的アプローチの方法です。
4分割表で考えると、考えが整理しやすく、また自分の立場からは気づきにくい側面についても、色々な気付きが得られやすい、と感じました。
医師はMedical Indication(医学的適応)を中心に考えがちで、他の要素について気付きが不足していたり、遅れたりしがちですが、その事に気付くきっかけとなります。
と、そのレクチャーを聴きながら、いつも自分が使う4分割法について考えていました。
私がよく使うのは、ID野球で有名な、プロ野球の野村監督が言われていた4分割法で、特別なものではないですが、例えば以下のような感じです。
①真面目な優等生 (A and B) |
②真面目な劣等生 (A and not B) |
③不真面目な優等生 (not A and B) |
④不真面目な劣等生 (not A and not B) |
というものでした。
そこで野村監督は、『日本シリーズの第1戦で先発させるのは、不真面目な優等生だ』と言われていた。
プレッシャーのかかる第1戦では『不真面目な優等生』の方が活躍する確率が高い、と。
その話を聞いてから、私も良く4分割するようになりました。
例えば先日も病棟で、『◯◯歳越えて、結婚してない男は何か問題がある』というような話をするヒトがいたのだけれど、その時私の頭の中ではカチカチと上記の4分割がされ始めて、
ⅰ)何の問題もなくて、結婚している男(少ないでしょう?) (A and B) |
ⅱ)何の問題もないけれど、結婚していない男(少ないでしょう) (A and not B) |
ⅲ)問題あるけれど、結婚している男(かなり多いでしょう) (not A and B) |
ⅳ)問題があって、結婚していない男(多いでしょう) (not A and not B) |
結婚しているから問題なくて、結婚していないから問題がある、って言うのは考え方が単純過ぎないかな~、なんて思いながら聞き流していました。
同じように、本来は選択肢が4つあるはずなのに、2つしか提示されない事が多々あります。
典型的なのが、『性格の悪い美人と、美人じゃないけど性格の良い女性と、どっちがよい?』という質問。
いつもこの質問をされるたびに、
『なんで2択なんだろう?(どっちも余り・・・)』
と思ってしまいます。
という訳で、4分割。
⑴美人で性格も良い (極めて少ない) (A and B) |
⑵美人で性格が悪い (まあまあいるでしょう) (A and not B) |
⑶美人じゃないけど性格は良い(多いでしょう) (not A and B) |
⑷美人じゃなくて性格も悪い(まあまあいるかな?) (not A and not B) |
(ホンマか?)
っと、やっぱり俺ってⅳ)かな~。
4分割したら色んな事に気付いてしまいます・・・。