"私は、
はじめに、親の子である。
次に、子の親である。
そして、親の親となり
最後は、子の子となる。"
これは、現在診療所で地域医療研修をしている私が、私生活と研修の間で感じたことを見事に表現してくれている詩です。この詩は、指導医・家庭医後期研修の先生方と勉強している"家族志向のプライマリケア"という本*1に掲載されています(記憶に頼って書いたので細かい表現は異なります)。
詩の意味、なんとなくお分かりでしょうか?人間が生まれてから死ぬまで、誰にケアされて・誰をケアして生きていくかということを書いているのだと思います。(親=介護者、子=被介護者)
私には生まれて1歳になろうという子供*2がいます。そして、1人離れて暮らしている父親がいます。現在の私は、子の親という段階であり、そして近いうちに訪れるであろう親の親という段階に対して準備をしている状態です。
そのような中、地域医療研修で、訪問看護・訪問診療・訪問介護・デイサービスを経験すると日本の介護のさまざまな形が生々しく私の目の前に飛び込んできます。喧嘩をしながらも家族と一緒に住んでいる方・同居する家族がおらず一人で住んでいる方。介護の形は人それぞれ。
研修でかかわっている方々皆が、病気と付き合いながら淡々と毎日を過ごしていきます。
私たちはそのお手伝いをします。
デイサービスで利用者さんの頭を洗っていて・・・
誤嚥しやすい方の訪問先で介護食の固い部分をスプーンでつぶしながら・・・
転倒した患者さんの擦り傷をどう処置しようか考えていると・・・
"今、自分のしていることは、普段子供にしていることと同じなんだ"ということにハタと気付きます。愛情をもって接し、ケアをする。人間は誰かをケアし誰かにケアされながら生きていくのだなぁとしみじみと感じることのできる地域医療研修です。
そして、狭い意味での医療(ほとんど医学という意味で考えてください)がその人生の中で担う部分は本当に小さく、いろいろな方々の協力があってやっとその人の人生をケアすることができるのだと痛感します。
~2年目研修医 Y~