東神戸病院のJUN1です。
何だか無性に文字が書きたくなったので、書いています。
教育的な指導の場面に居合わせた経験を少し書いてみようと思います。
尼崎医療生協病院で後期研修医1年目になりたての頃で、何かと指導医に相談することの多かった時期の話です。
患者さんの診療において診断に苦慮していた時に、指導医のH先生に病棟の詰め所で相談したときのことでした。
H先生は、
「よし、研修医の勉強と言う観点から、病院の負担にはなるが◯◯という検査をしてみよう。」
と言われました。
しかし、ちょうど病棟に来られていたS院長が、
「それはよくありません、保険診療で認められている範囲で診療しなさい。」
と言われました。
H先生は、
『う、う、うッ』、
と押し黙ってしまいましたが、隣にいる私は何とも心地よい幸せな気分に包まれていました。
おじさん二人に挟まれて幸せとか言うのも気持ち悪いですが・・・(^_^;
H先生の研修医の教育のために、保険診療では認められていない検査だが、病院側の負担で検査しようという、研修医の(私の)未来を考えてくれた、教育的な発言が私を幸せな気分にしてくれたのは勿論です。
しかし、S院長の保険診療の中で許された範囲内でしっかり診療しなさい、というお話も、それはそれで研修医の(私の)未来にとってとても重要な教育的指導でした。
研修医といえども、お金の事をしっかり考えなさい、保険診療に対する知識を欠いた状態での日々の診療行為というのは認められないことです、という教育的メッセージもまた私を幸せな気分にさせてくれました。
まったく反対の意見を言う先生が二人いて、しかしそのお二人とも教育的態度で私に接してくださっていることに、深い満足を覚えていた、という話です。
H先生が、「う、う、うッ」、とつかえてから、「じゃあ、例の検査はなしで。」と言われるまでの短い時間が、自分にはとても長く幸せな時間に感じられました。
後期研修医になりたての頃の幸せな思い出の1つです。
(尼崎医療生協病院の屋上から撮った夕陽です)