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『聞く技術 答えは患者の中にある』 ローレンス・ティアニー、マーク・ヘンダーソン〔編〕日経BP社

2年目研修医のJun 1です。


今日は本の紹介&ちょっぴり自慢話。

 

『聞く技術』とは、すなわち問診のことなのですが、上記の題名の医学書はその問診に焦点を当てた本です。

 

問診というのは、なかなか一朝一夕(いっちょういっせき)には上達しないもので、毎日失敗と反省の繰り返しです。

 

そんな日々の反省のときにお世話になっているのが上記の本です。

 

内科の基礎を築いた方で、19世紀後半に活躍したウィリアム・オスラーという偉大な内科医がいます。

 

日野原重明先生の話の中にもよく出てきます。

 

そのオスラー医師のよく引用される有名な言葉に、

 

"Listen to the patient. He is telling you the diagnosis"

 

という有名な言葉があります。

 

『患者の言葉に耳を傾けよ。患者はあなたに診断を告げている。』

 

という意味で、いかに問診が重要かを説いた一言です。

 

そうは言うけどなかなかそんなに上手くは行かないよ~、と日々問診で苦闘する私にもついにその言葉を実践できる日が・・・。

 

先日、地域医療研修中の東神戸病院での事。

 

今年から外部研修でリハビリを勉強された和田先生が帰院され、地域医療研修の中にリハビリについても学ぶカリキュラムが組み込まれました。

 

リハビリのオーダーは出すけれど実際のリハビリの場面をしっかり見る機会の少ない研修医にとっては勉強になるカリキュラムです。

 

朝からリハビリの先生と患者さんのところへ。

 

認知症のある患者さんで、滑舌も少し悪く、話されている事が少し聞き取りにくい患者さんでした。

 

まずはベッドサイドで自己紹介。

 

しかし、患者さんはしきりにお腹を指差しながら、同じ言葉を口にされている。

 

良く聞くと(Listen to the patient)、なんだか『こぶ』といっているような気が・・・。

 

しかし、はっきり聞き取れないので『こぶ』ですか?と聞き返すも、相変わらず、お腹を指差しながら『◯◯』と言っている。

 

よく聞き取れないな~、何かな~、でもまぁ、お腹の触診くらいして何もないですと言ってさしあげよう、と思い腹部の触診を開始。

 

すると(へそ)の下あたりに『拍動性(はくどうせい)腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)』が触れるではないですか・・・(He is telling you the diagnosis

 

慌ててカルテを見ると記載がないので主治医の先生に御報告。

 

その後、腹部CTを撮ると、なんと直径35mm大の腹部大動脈瘤が。

 

で、上記の『有り難~い』お言葉が思い出されて・・・若干ニュアンスが違うような気もしないでもないですが。

 

正直なところ『こぶ』と言っていたかは全く自信なし。

 

そもそも会話もあまり成り立っていなかったような・・・。

 

"Listen to the patient. He is telling you the diagnosis"

 

というお話でした。

 

紹介した本の中にもしっかり載っています。



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